アイソの瀬付きの季節。アイソとは、婚姻色の出たウグイを指す栃木の地方名です。ウグイは石斑魚と書くコイ科の魚で、ザコやハヤとも呼ばれています。瀬付きとは、川の浅瀬で行うウグイの産卵のことです。
田植えの頃に瀬を黒々と染め上げるその産卵は、梅雨入りの頃まで続きます。体側は黒々と色づき、朱色の線がきれいに浮かびあがった婚姻色のウグイは、まるで漆細工のようです。群れを成して瀬でひらめく姿は勇壮ですらあります。
この季節のウグイを桜ウグイと呼ぶことがあり、若山牧水の短歌に「瀬瀬走る やまめうぐいひのうりくづの 美しき春の 山ざくら花」とありあす。
桜に負けないほど美しく染まったアイソの群れが、元気いっぱいに泳ぎまわる姿。春の小川をちょっとのぞいてみませんか。
広報かわち 2005年4月より