元気な子供たちの歓声と一緒にさわやかな光る風が、のんびりと散歩へ誘う季節、駅前通りから国道四号線を越え、辰街道に向う坂の途中に岡本駅前第二公園があります。今回はこの公園入口にある石仏群を訪ねます。
正面左側から「庚申塔」で銘文は
「元文五庚申歳十月二十日」
「(※梵字1)奉造立庚申供養寶塔為二世安楽也」
「下岡本村吉□地内講中謹□」
とあります。元文5年(1740)庚申の年にあたり、この供養塔を立てることにより「あの世とこの世」の二世が安楽であるように下岡本の吉施地内(きせちうち)の人々が祈りました。
石造 高さ130cm
次は
「(※梵字2)巳待供塔」です。巳の日に供養をする石塔で、弁財天を本尊としています。
石造 高さ67cm
次は「十九夜塔」です。
「昭和四己巳年二月十九日」
「喜瀬地内組建之」
十九日に供養を行う。十九夜講の石塔です。昭和4年(1929)です。
石造 高さ104cm
この十九夜塔の傍(かたわ)らには十九夜の本尊である如意輪観世音菩薩の残欠が、頭部欠損の状況であります。これは明治元年(1868)頃の排仏毀釈(はいぶつきしゃく)によるものと推測できます。
区画整理事業や道路の拡幅などの理由でここに集められ形成された石仏群です。
遠い過去の素朴な祈り、身近に感じて少し癒(いや)される。現代人は心にゆとりが一番必要かも知れません。
平成12年(2000)5月20日 第364号掲載
※梵字1
※梵字2