旧部のお地蔵様(中央)
中岡本旧部には、珍しいお地蔵様がおいでです。高さ40cmの座像の石仏です。いつも真赤な衣を着ています。それが古くなると誰かが新しい衣を着せてくれます。世の中には奇特な方もいるものだと感心しているのですが、もう何十年も続いています。
昔は雨乞い地蔵様とも呼ばれ、晴天が続いて田畑に雨が欲しくなる頃には、旧部坪の人達の誰が先に立つともなく、「地蔵様に雨乞いすべや」と言うことになり、御日待が開かれます。御日待にはお地蔵様の赤い衣をぬがせ、お堂のしとみの上に乗せ、男衆4人で川端まで行って、お地蔵様を川の中に投げ入れます。そして、裸で川に飛び込んだ村の人達がそのお地蔵様を川の中から抱き上げて再びしとみの上へ乗せ大人や子供達がワッショイ・ワッショイと調子をつけて川水をお地蔵様にかけます。何十回かの水をかけたら、又お地蔵様をかついで、次の用水堀まで行って、同じ所作を繰り返します。旧部地内の河川で繰り返し行うと、不思議に数日中には必ず雨が降ったものでした。
平成3年(1991)8月20日 第259号掲載