岡本台ハイツの東に申内(ざるうち)の氏神様、日吉神社が緑の中にあります。神社の階段を降り、水田を眺めながら内川の豊かな流れを渡ると、右側に今回訪ねる不動明王があります。
不動明王は「お不動さん」と呼ばれ親しまれている仏様で、千葉県の成田山新勝寺や宇都宮市の多気山持宝院などは馴染(なじ)み深いものです。
明王を代表する存在で、大日如来が一切の悪を降ろすために忿怒相(ふんぬそう)に化身したとされる像です。火焔(かえん)で汚れを焚(た)き浄(きよ)め、衆生を救うとされています。右手に宝剣、左手に羂索(けんさく)を持ち火焔(かえん)光背で、台座は岩座か瑟瑟座(しつしつざ)が多い。不動明王は、治病・安産・災害や災難の除去・財福を得るなど広く種々の祈願を叶えてくれるとされています。
この不動明王の銘文は、本尊右側に「宝暦五乙亥四月吉日」左側に「玉生勘右衛門」
造立は宝暦5年(1755)で、玉生勘右衛門さんが立てたと考えられます。
現在の位置は移動した場所で、元は対岸に在り、御堂にお祀(まつ)りしてあったそうです。御堂に掛けてあった鰐口(わにぐち)が、大切に保存されています。
鰐口には「奉納 安政六未十二月 相良氏」とあり、安政6年(1859)銘があります。
元の場所近くには湧水があり、目の病気に効くとされていました。小字は勘右衛門崖下、近くには不動免などの関係深い地名が存在することに注目したいと思います。
長い間水田地帯を見守って来た不動様を見て、今年は豊かな実りの年であるよう祈りました。
石造 高さ64cm
平成6年(1994)6月20日 第293号掲載