稲荷神社の東側奥にある山神様
相野沢の北東部に稲荷神社があります。神社の本殿に向かって右側の一番奥に、相野沢の「山神様」があります。
相野沢とは、二つの川の間とか、合流地点という意味があります。現在でも、土地改良事業が完成した水田の間には多くの水路があり、清く豊かな水量を誇っています。
山神様の造立年代については不明ですが、祠(ほこら)の形式から江戸時代中期以後の作と考えられます。
山の神は大山祇命(おおやまずみのみこと)、あるいは木花咲耶姫命(このはなさくやひめ)とされています。本来は山で仕事をする山村や農村の人たちの守り神とされています。大山祇命を男神として、木花咲耶姫命を女神とする考え方があり、山の神を女神とする地域が広く分布しています。余談ですが、結婚した女性を「山の神」と呼ぶのは、木花咲耶姫に由来するとされています。
山の神は春になると、水神の仲立で里に降り、田の神となり水の恵みを与え、秋の稲刈りが終ると山へ帰り、元の山の神に戻ると考えられています。
稲荷神社の周辺には「山神林」と呼ぶ小字が見られ、山神様が大切に守られていたと思います。 石の祠に農産物の豊かな実りと水の恵みを祈った先祖の気持ちを大切にして、私たちも語り伝えたいと思います。
大谷石 高さ85cm
平成5年(1993)7月20日 第282号掲載