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路傍の神々(77) 逆面の日露戦役従軍記念碑

 様々な思いの中に「8月15日」を再び迎えました。

 

 私自身、戦争を知らない世代の一人ですが、平和の尊さを深く考えたいと思います。

 

 時を超えて変わらぬ静けさと木々の緑が目に優しく映る逆面(さかづら)の里、集落の中心に白山神社があります。今回は神社参道にある日露戦役従軍(せんえきじゅうぐん)紀念碑を訪ねます。

 

 日露戦役とは日露戦争のことをいい、明治37年(1904)2月から翌年9月のポーツマス条約調印と共に終結しました。

 

 日露戦争の前後から日本も大きな変革期に入り、政治的には明治33年(1904)に治安警察法が成立し、経済面では軽工業から重工業中心の資本主義の確立、社会的にも労働運動や社会主義思想のひろまりなどが社会背景としてありました。

 

 治安警察法を盾に、国家は労働運動などの封殺(ふうさつ)、思想統制をして、軍部の台頭を許し軍国主義への道を走って行きます。

 

 しかし国家とは別に個々の心の中には大きな葛藤(かっとう)があったことが種々の資料の中に見ることが出来ます。

 

 

 

 逆面の日露戦役従軍記念碑の銘文は

 

正面に

「日露戰役從軍紀念碑」

「呉東莱書 宇都宮市大工町鈴木群泉刻」

 

裏面に

「田原村大字逆面出身從軍者12名」

「建碑寄附人名 區長他18名」

「明治卅九年七月建之」

とあります。

 

 明治39年(1906)に総額24円40銭の費用で、宇都宮大工町鈴木群泉氏によって彫刻されました。

 

 現在の平和が多くの命と心の犠牲(ぎせい)によって在ることを心に刻み後世に伝えたいと思います。

 

 高さ 176cm 石造

 

平成11年(1999)8月20日 第355号掲載

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