奉納の「穴あき石」
下岡本には古くから九つのお堂があるといわれています。今回は、その一つ田中地区の五月女氏宅の前にある、お堂を訪ねて見ることにしました。
このお堂は二間四方(3.64m)茅葺(かやぶ)き屋根の建物(現在は再建されています)で、由緒などは明らかでないが江戸時代初期からすでに薬師如来像も安置し、地元の人たちに守られていたらしい。「薬師さま」を信仰すると病気にかかることがなく、もし病気になってもお参りをすれば軽くすむといわれる。
お堂内の仏像は高さ50cmの立像で両脇に日光・月光の両菩薩を従えている。特にこの薬師さまは目の病にご利益があったらしく、眼病の治ったお礼として大小各種の「穴あき石」や「め」と書かれた絵馬がたくさん奉納され薬師信仰が盛んであったことを物語っている。お堂正面の鰐口(わにぐち)も立派なもので下岡本村と書かれている。