メイン画像

路傍の神々(32) 和久の六字名号塔

 和久(わぐ)の板賀橋から、通学路を50m位北へ向うと内川沿いに、今回訪ねる六字名号塔があります。

 

 六字名号とは、「南無阿弥陀仏」の六文字の念仏称名です。「南無」は仏を指す敬称で、「阿弥陀仏」は阿弥陀仏に帰依するという意味です。

 

 阿弥陀仏を本尊とする浄土信仰は、末法(まっぽう)思想によって平安時代中期以後盛んとなり、浄土宗・浄土真宗・時宗などを中心として一応に南無阿弥陀仏を唱えれば、来世は西方極楽浄土に往生できるとされ、鎌倉新仏教を生み出し、武士や庶民の間に広まっていきました。

 

 和久の六字名号塔は、市貝町市塙に住んだ大原妙哲尼、天保7〜明治40十年(1836〜1907)の書です。

 

 妙哲尼は六字名号塔を約70基建立したとされ、その分布は芳賀地区を中心として河宇地区、氏家、高根沢、茨城県下館地区などにあります。

 

 

 河内町では、和久と白沢南地蔵堂境内にあります。

 

正面右側から

 

 「南無阿弥陀佛」

 「妙哲行者悉」

 「明治二十七年二月廿八日」

 

 建立は明治27年(1894)で妙哲行者が、この塔に対して心を尽すとされています。

 

 裏面には世話人6名の名前が見えます。

 

 また、路傍(ろぼう)の塔碑には珍しく塀(へい)があります。一時この周囲が荒れていたために昭和26年(1951)に、岡本金太郎さんが改築したことが銘板によってわかります。

 

 見慣れた風景の中にも、郷土の歴史がひっそりとたたずんでいるものです。

 

 石造 高さ140cm

 

平成7年(1995)11月20日 第310号掲載

メニュー

カウンター カウンター