主要地方道宇都宮・河内線と東北新幹線が交差する所から、北東へ約150m位、東守神社へ通じる道の辺、日だまりの中に今回訪ねる馬頭観世音道標銘があります。
馬頭観音は、十九夜塔・地蔵尊・庚申塔・二十三夜塔の石仏ベスト五にランクインし、栃木県内の石仏の20.5%を占め第1位です。
道標(道しるべ)は、道案内を主体としたものを「道標」、石仏石塔類に道案内を併記したものを「道標銘」と呼んでいます。
宝井上の馬頭観世音道標銘は、大きな河原石に馬のような躍動(やくどう)感の溢(あふ)れる文字で、大書してある文字塔です。この馬頭観世音道標銘の銘文は、
正面に、「馬頭観世音」
右側に、「右 日光 徳次良道」
左側に、「左 下田原村道」
裏免に、「天保十四年 癸卯霜月」とあります。
天保14年(1843)霜月(11月)に造立されました。
造立時より移動して現在の位置にありますので、左右のつじつまがあいません。当時は東向きに立っていたと想像されます。
このような道標などによって、当時の経済や交流圏、土地の交通環境を考える貴重な郷土資料として長く保全していただきたいと思います。
河原石 高さ104cm
平成7年(1995)2月20日 第301号掲載