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路傍の神々(67) 東組の六字名号絵文字線刻画地蔵塔

 錦秋(きんしゅう)の木々を楽しむ秋は、歴史に思いを馳(は)せ、路傍(ろぼう)の神々や石仏とゆっくり語り合える季節です。

 

 通称田原街道沿いに東組公民館があり、北側の中山国蔵さん宅の石塀の一画に、今回訪ねる六字名号絵文字線刻画地蔵塔があります。

 

 何かと難しい仏教用語の中で「お地蔵様」は子供からお年寄りまで幅広く知られた仏様です。

 

 大地に生命を育む力が蔵されているように、慈悲(じひ)深い菩薩で衆世を救うとされています。特に死んだ子供が父母を慕い石を積んで塔を作る、冥土(めいど)の三途(さんず)の河原で終日遊んでいると、夕方鬼が来て子供たちをいじめる。そして地蔵菩薩が現われるという仏教説話があり、地蔵信仰と子供・子育ては強く結びついています。

 

 六字名号とは「南無阿弥陀仏」をいい、阿弥陀仏に帰依するという意味です。

 

 

 

 この地蔵塔の銘文は、

 

正面右側に

「贈法印周清為菩薩也」

 

正面左側に

「寛延元辰九月十七日」

 

寛延元年(1748)で辰年にあたります。誰が造立したかは不明ですが、法印周清さんの菩堤を弔うために造立されました。

 

 六字名号絵文字線刻画地蔵塔の作例は少なく、貴重な文化財といえます。河内町を中心に見ますと、

 

下組前島地蔵 正徳5年(1715)

東組宿坪地蔵 寛延元年(1748)

氏家町上阿久津逢坂地蔵 寛延4年(1751)

 

 江戸時代中期にこのような高い技術を持った匠(たくみ)が存在したことに感謝したいと思います。

 

 高さ75cm 河原石

 

平成10年(1998)10月20日 第345号掲載

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