薬師如来
根古屋(ねごや)には二軒の旧家があり、前小森・後小森と呼ばれ、どちらも古く、大きな家と屋敷をもっています。両家とも峰沿いにあって、前小森(南)は小森利彦氏、後小森(北)は小森文夫氏の家です。
この両家が協力し合って管理しておられる薬師堂があります。薬師如来は現世利益の仏と言われ、昔より多くの人から尊崇(そんすう)を受けています。
村人からも大いに崇(あが)められ、薬師如来の縁日(えんにち)には老婆達は御堂に上って念仏をし、子供達は百万灯と称する竹灯籠(たけとうろう)を御堂の庭先から参道の両側につるし、灯籠には各人が思い思いの絵を書いたり、筆字を書いたりしたと言います。
御堂の庭先には、石に刻んだ露座(ろざ)の地蔵菩薩(ぼさつ)、十九夜塔元禄13年(1700)製や宝篋印塔(ほうきょういんとう)などが見かけられます。昔は尼寺であったとの話もあります。
平成3年(1991)4月20日 第255号掲載