申内の天棚
申内(ざるうち)の天棚は鹿沼から購入されたとの伝承があります。天棚の障子の腰板に、「宇都宮大町肴町天棚祭粉色、無相違出来仕候、就鳥蔵」と、記入されています。そして、御行様が叩くという丸い大きな鐘に文化14年(1817)と刻み込まれています。五穀豊饒を祈る祭りで、組立てられた天棚は高さ約5m位、巾は約4m(2間四方)で、極彩色の古びた典雅な彫刻が、天棚全体に落着きを与えてくれています。このようにして天棚が組み立てられ、天棚の四方に注連縄(しめなわ)が張られますと、その内側は聖域となり、いよいよ祭り執行の段取となります。
天棚は移動ができませんので、太鼓・鉦・笛などで陽気に賑やかに御囃子高々と響かせるのです。そうすることで、祭りらしい楽しさが生まれて来ます。ひとしきり調子が上ると、二階に白装束で立っていた御行様が天に向っておごそかに祝詞を上げ、天棚を取巻いていた人達が本の梵天を中心に、「御来迎・御来迎」と唱えながら、天棚の周囲を百回走り廻るのが、昔からのしきたりであったようです。御行様は、生理以外に地上へ下りることはできないという厳しい戒律がありました。この祭りは3日間続きます。
平成3年(1991)7月20日 第258号掲載