霜光る朝、きりっと締った風の中に、ふり返りつつ年歩む師走になりました。
人・物・心が行き交った奥州街道、時の流れに身をまかせ、今は静かに歴史を伝える白沢宿。
今回は白沢南交差点の一隅に佇む交通安全観音を訪ねます。
二十世紀は以前に比べて飛躍的に科学技術が発展した時代です。中でも自動車の発達は目覚ましく日進月歩の姿です。
その中にあっては、私たちの生活も豊かになりその恩恵は計り知れないものがありますが、反面、「交通事故という負の部分もあり、技術の発達と同様に交通安全に対しては日々、大変な努力を注いでいます。」
昭和40年以後は交通事故死者数は毎年1万人を超えて、「交通戦争」・「交通地獄」と呼ばれています。
今でこそ死亡事故以外は何も感じなくなっていますが、この悲惨な現実を予見するかの様に、またこんな時代にならぬようにとの願いを胸に、一刻み一刻み彫ったと推定できます。
近所に住んで居られた故小林東一郎さんの作品です。台座は故長谷川仁雄さんの御世話になったものです。
昭和45年(1970)の作品で、白沢宿が平和で楽しく交通事故も無い様にとの願いが込められています。
宿場町特有の鍵の手に曲った道路で事故の多い場所です。
心にゆとりを持って交通安全に努め新しい年を迎えたいと思います。
高さ110cm モルタル造
平成11年(1999)12月20日 第359号掲載