花に酔う頃は夢の如く過ぎ、ふと気が付けば桜の蘂(しべ)降る季節に移ります。
河内町役場から白沢宿に向い、坂を降りる辺りの右側に白沢地蔵堂があります。今回は境内石仏群の中から宝篋印塔(ほうきょういんとう)を訪ねます。
宝篋印塔とは、宝篋印陀羅尼経を納める供養塔で鎌倉時代中期頃から造立され、時代や地方によって変化していますが、全国各地に広く分布しています。
日本では本来の教典にこだわらず供養塔として定着しました。
この宝篋印塔には塔身部分に、金剛界四方仏の種子(しゅじ)(梵字(ぼんじ))、格狭間(こうざま)部分には経文(きょうもん)が刻まれ
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とあります。
基礎部分の西面には、
「上岡本村惣講中」
南面には、
「奉造立寶篋印塔 古應趣者 一結構中 現世安穏後生善處 心中祈願 皆今満足天下法界 平等利益而己」
東面には「寶暦六丙子 稔 霜月吉日」とあります。
村人が仏の教えを通じて、一つになろうとした事が刻まれています。
宝暦6年は(1756)で、丙子(ひのえね)にあたります。
基礎部分の大谷石は後補(こうほ)で、相輪(そうりん)部分は欠損しています。
素朴な祈りに触れ、さわやかな風が過ぎて行きます。
高さ3m 石造
平成12年(2000)4月20日 第363号掲載
※とう
※らい
※表外漢字