歓声と笑顔の中で38年ぶりに、人々の思いを込めて行なわれた「白沢宿場まつり」が終り、道路にその興奮を残して静けさが戻ってきました。
白髭神社裏の遊歩道に、今回は双体道祖神(そうたいどうそしん)を訪ねます。
道祖神は民間信仰の中でも、多種多様に変化し独特な発展をしました。
旅や道の神、質の悪い流行病(はやりやまい)・悪霊・怨霊の集落への侵入を防ぐ意味から、村境や峠・辻・橋の袂(たもと)などに点在しています。また私たちの住む「この世」と死者の「あの世」の境を司る神とされています。
信仰は全国に分布していますが、石塔は関東甲信越地方に多く見ることができます。
双体道祖神は江戸時代中期頃から造られるようになりました。
高さ 65cm 石造
現在の双体道祖神の型式が成立したのは宝永・正徳(1704〜16)頃で、男女や夫婦の円満を表現した像容が多く、手をひいたり、握手をしたり、銚子や盃を手に持つ祝言(しゅうげん)像は享保年間(1716〜36)からで、この他に接吻(せっぷん)・抱擁・交合像などが見られます。
双体道祖神については、長野県南安曇(あずみ)郡穂高町と栃木県上都賀郡粟野町が特に有名です。
白沢宿の双体道祖神は、仲むつまじい握手形をしています。
銘文は裏面に、
「白沢宿」
「平成四年九月」
「かおる」
とあります。
平成4年(1992)9月に奈坪二区の小林馨さんの作品です。
あふれる笑顔の中に人々のいろいろな思いがあると感じ道祖神に手を合わせました。
平成10年(1998)12月20日 第347号掲載