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路傍の神々(41) 白沢甲部薬師堂の六地蔵

 名残の蝉しぐれを聞きながら、白沢宿の小学校入口バス停から北へ向かい遊歩道に入ると、薬師堂があります。今回はお堂前に並ぶ六地蔵を訪ねます。

 

 お盆には、先祖の供養や亡き故人を偲び、墓や寺にお参りした方も多いと思います。墓地の入口やお堂の周辺などに六体の地蔵があります。これを六地蔵と呼びます。

 

 お地蔵様は日本で独特な発達を遂げ、昔話にもよく登場したり、日本の生活や文化に大きな影響を与え、老若男女幅広く親しまれている仏様です。

 

 六地蔵とは人間が善悪の業因により生きめぐる六つの世界で、地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間界、天上界に輪廻転生(りんねてんせい)を繰り返す六道能化(ろくどうのうけ)の思想によるものです。

 

 

 

 さて薬師堂前の六地蔵は、向かって右から、

 

1.幡幢を持つ 法印地蔵

2.右手に宝珠・左手に錫杖を持つ 鶏亀地蔵

3.両手で香炉を持つ 法性地蔵

4.両手で合掌(がっしょう)する 宝性地蔵

5.両手で数珠(じゅず)を持つ 地持地蔵

6.天蓋(てんがい)を持つ(本来は右手に施無畏印(せむいいん)・左手に引接印(いんせついん)を結ぶ)陀羅尼地蔵の順に立っています。

 

 地持地蔵の右側に「願主、光誉順長」、左側に「延享四丁卯年六月廿四日」

 

 鶏亀地蔵の右側に「白沢村・上岡本・長峰村」、左側に「古新田・相野沢」とあります。

 

 願主の順長さんが延享4年(1747)丁卯(ひのとう)に各村を勧進(かんじん)して建立したと思われます。

 

 上岡本は現在の白沢南、古新田は現在の古田を指しています。

 

 昔話の「笠地蔵」は六地蔵が登場します。いつも私たちの身近に居て、見守ってくれる地蔵様、この世でもあの世でも同じだと思いました。

 

平成8年(1996)8月20日 第319号掲載

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