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路傍の神々(90) 白澤宿明星院の半鐘

 猛暑の夏を戦い、ホッとして気が付けば虫のすだきの中、人恋しい秋です。日常を脱し時を止めたような空間に巡り逢うとすれば、何を於いても白沢宿。

 

今回は白沢宿の名刹(めいさつ)、明星院本堂高欄(こうらん)の向かって右隅に吊(つる)してある半鐘(はんしょう)を訪ねます。

 

 半鐘は梵鐘(ぼんしょう)と同じ役割をし、時刻。火事や津波などの災害を知らせたり、新年や儀式の開始を知らせたりする情報伝達の手段として用いられました。

 

 梵鐘は大きく音は低く、重い感じがするのが特徴です。これに対して、半鐘は小さく音は高く軽い感じがします。

 

 梵鐘は「ゴーン」・半鐘は「ジャン・ジャン」という音で、「オジャンになる」というのは、半鐘がなると火災や水害などの情報が多いために、仕事などが全部止まることから、中止やダメになることをいいます。

(池の間二)

(池の間三)

 明星院半鐘の銘文は、

(池の間一)

「下野国河内郡白澤町」

「龍池山 駄都寺 明星院 英尊造立之」

「千時 享保九年甲辰歳 三月二拾一日」

「治工 宇都宮 戸室将監作」

(池の間二)(池の間三)は、上記の様にあります。

 

 享保9年(1724)に、明星院第18世英尊代に、宇都宮の戸室将監によって造られました。池の間二には、光明真言(大呪(だいじゅ))。池の間三には随求菩薩真言(ずいぐぼさつしんごん)(小呪(しょうじゅ))があり、願文として庶民の願いが込められていました。

 

    高さ67cm

 

平成12年(2000)9月20日 第368号掲載

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