新しい年の始めにふさわしく、多くの皆さんに「福の神」が来るように祈りまして、今回は大黒天を訪ねてみます。
新栃木変電所正面ゲートから少し南へ向かい、農業用水の赤い水門のほとり、東北新幹線の良く見える所に、大黒天がニッコリ笑って待っていました。
大黒天は「ダイコクさん」と呼ばれる、とても親しみのある神様です。島根県の出雲大社の祭神大国主神としての習合も見られ、江戸時代以後は恵比寿と共に、福の神の代表として名コンビをくんでいます。
像容は、左肩に大きな袋を背負い、右手に打出の小槌を持って、米俵の上に立ち、あふれる笑顔で、大黒頭巾をかぶっているのが一般的です。
全国に分布し、栃木県内では約110基あります。御利益(ごりやく)としては、五穀豊穣(ごこくほうじょう)、金がたまる、小銭に不自由しないなどが主なものです。
相野沢の大黒天は、家庭の恵比寿、大黒を新しくした時、古い恵比寿、大黒を納めた場所です。
この大黒天の銘文は、
正面に「大黒天」
右側に「明治十二卯十月廿日」
とあります。明治12年(1879)卯の年です。
位置は現在の地に移りましたが、百年以上も相野沢の風景を見つめ続けて来た大黒天、出口の見えなかった平成不況も少しずつ景気回復の兆(きざ)しが見えました。今年は一層の景気の拡大と、豊作を祈りたいと思います。
石造 高さ45cm
平成7年(1995)1月20日 第300号掲載