「かやぶき屋根の神官の家」現在宝井上の中里氏の住居
町内には古くから、ゆかりのある家がたくさんありますが、今回は田原地区から一つ紹介してみましょう。
宝井上の北に、茅葺き屋根の大きな農家が、中里さんの家です。
家は開口十三間(23.66m)・奥行六間(10.92m)・総面積78坪(258.37m2)、部屋数は多く、欅(けやき)の柱、桂や桜の床板。榧(かまち)の帯戸、桜の敷居、床の間の格天井、二間幅の神棚、羽黒山から運ばれた巨大な柱、土台石などすばらしいものがあります。
この家は羽黒山の神官であった小林家が、羽黒山のふもと(小室)に材料を吟味(ぎんみ)して建てたものです。(年代不詳)小林家は江戸時代、先祖が京都に上り神職の位を得て帰り、羽黒山の裏山に隠居(いんきょ)羽黒山を開いたり、代々神職の家業を受け継ぎ、虫封じなどの薬を研究し、大いに好評を得ました。
かたわら寺子屋を開き、子弟に手習いや読書を教え、いろはや今川状から四書などを授けたといいます。
小林家の家屋は昭和初期、宝井上の中里義秋氏が買受け、解体して馬車や、羽黒山のトラックにより運ばれ、大工手間240人がかけられて再建されたものです。