収穫の秋です。稲穂の香りを体中に感じながら、田園風景の中を、西下ケ橋(さげはし)の北端に八坂神社があります。今回は、八坂神社境内の三日月塔を訪ねます。
三日月塔は通称「ミカヅキサマ」と呼ばれ、月読命(つきよみのみこと)を祀(まつ)っています。月読命を祭神とする三日月神社は、栃木県内では南部を中心に五社あります。
西下ケ橋の三日月塔は、県内でも珍しく最大級のものと推定できます。
河内町でも三日月信仰が民間に広まり、正月の鏡餅として3段重ねの三日月重ねの供え餅を神棚に供える家も残っています。
大陰暦では毎月2日、または参日を新月と言って「三日月様」を信仰していました。この新月を新生児に当てはめて、新生児の守護神と考えました。鹿沼市上殿町にある三日月神社では、正月の三ヶ日には特にお参りする人が多かったそうです。
三日月様の御利益(ごりやく)はカンの虫切り、イボとり、アザとり、子育て、縁結びに良いといわれています。
西下ケ橋の三日月塔の銘文は、正面に、「三日月」
裏面に、「天保十三壬寅載十二月吉日」 「惣村中」
とあります。
天保13載(1842)に村人の手によって造立されました。
新しい生命が、月の満ち欠けによって生まれ、太陽や自然の恵みで成長することを改めて思い、素朴な信仰を大切にしたいと感じました。
河原石 高さ94cm
平成7年(1995)9月20日 第308号掲載