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路傍の神々(30) 西下ケ橋の三日月塔

 収穫の秋です。稲穂の香りを体中に感じながら、田園風景の中を、西下ケ橋(さげはし)の北端に八坂神社があります。今回は、八坂神社境内の三日月塔を訪ねます。

 

 三日月塔は通称「ミカヅキサマ」と呼ばれ、月読命(つきよみのみこと)を祀(まつ)っています。月読命を祭神とする三日月神社は、栃木県内では南部を中心に五社あります。

 

 西下ケ橋の三日月塔は、県内でも珍しく最大級のものと推定できます。

 

 河内町でも三日月信仰が民間に広まり、正月の鏡餅として3段重ねの三日月重ねの供え餅を神棚に供える家も残っています。

 

 大陰暦では毎月2日、または参日を新月と言って「三日月様」を信仰していました。この新月を新生児に当てはめて、新生児の守護神と考えました。鹿沼市上殿町にある三日月神社では、正月の三ヶ日には特にお参りする人が多かったそうです。

 

 

 三日月様の御利益(ごりやく)はカンの虫切り、イボとり、アザとり、子育て、縁結びに良いといわれています。

 

 西下ケ橋の三日月塔の銘文は、正面に、「三日月」

 

裏面に、「天保十三壬寅載十二月吉日」 「惣村中」

 

とあります。

 

 天保13載(1842)に村人の手によって造立されました。

 

 新しい生命が、月の満ち欠けによって生まれ、太陽や自然の恵みで成長することを改めて思い、素朴な信仰を大切にしたいと感じました。

 

 河原石 高さ94cm

 

平成7年(1995)9月20日 第308号掲載

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