弁天様の隣りにある石幢
逆面(さかづら)公民館を過ぎて、通称弁天様の西側の一角に、屋根の下、大切に守り伝えられている石仏の中に「逆面の石幢」があります。道路が拡張された時に、北側にあったものが現在の所に移されました。
石幢(せきどう)の名称は、須弥壇脇(しゅみだんわき)の細長い布製の飾りが、6組または8組を合わせた形で石造物に表現されたところからきています。
ここで紹介する「逆面の石幢」は、明治44年(1911)2月16日、庚申の日の造立になります。六角幢で各面には六地蔵の名称と種子が掘り出してあります。
上部には如意輪観音半跏思惟(はんかしい)像、台座右側に「東組 女講中」、正面に造立年月日と世話人四名の名前が刻んであります。
如意輪観音と「女講中」の文字から、女性だけで成り立つ十九夜信仰、六地蔵からは地蔵信仰、造立年月日からは庚申信仰などのいろいろなことがわかります。当時はこのような複合的な信仰が存在していたことがわかります。
医学が未発達のこの時代には、婦人病や育児に関する情報は、講中でのコミュニケーションと神仏に祈るほかに手段がなかったと考えられます。
高さ160cm 石造
平成5年(1993)5月20日 第280号掲載