高砂爺婆の彫刻
江戸時代、白沢宿の名物の一つに、旅籠(はたご)高砂屋の正面入口に、色鮮やかな高砂の翁(おきな)・褞(おうな)の彫刻が飾りつけてあるつい立屏風(たてびょうぶ)を街道を通行する旅人は目を見張って、これを見物したそうです。
明治38年(1905)の白沢宿の大火で、高砂屋は類焼しましたが、その彫刻は無事でした。
この屏風に飾られた彫刻は幅75cm、たて110cmが二面になっており、翁・褞・鶴・亀など、実物を見るが如く、生き生きとした明るさを感じ、まさに長生きの国、日本を表わしております。色彩は長年風雨にさらされたためか、一部にそのあとを見る程度で、かえって素地(そじ)の美しさを見ることができます。
江戸時代、白沢宿の文化の一面を語る貴重な宝物と言うことができましょう。
昭和60年(1985)9月20日 第188号掲載