アユのやな場風景(現在)
江戸時代、奥州街道の宿場として、にぎわった白沢宿の名物として、鬼怒川のアユと当地産のゴボウ汁が、特に旅人の賞賛をうけ、街道筋の名物にあげられており旅籠(はやご)やめし屋では常に用意し、旅人はよろこんで、これを賞味したといわれます。
白沢の東を流れる鬼怒川はアユが豊富にとれ、他の河川のものより味が良いと、もっぱらの評判でした。明治天皇も当地通行のさい、鬼怒川のアユ漁を御覧になったといわれます。
ゴボウは昔から鬼怒川の洪水で、肥沃(ひよく)となった沿岸の畑地で栽培(さいばい)され、耕土も深く、肉質もしまり、適度のやわらか味をもち、多くの人の食味に合ったものが、たくさん生産されたと言われます。また料理の方も、長年の経験によって、おいしく調理され、旅人は舌鼓(したつづみ)をうったと言われます。
昭和60年(1985)6月20日 第185号掲載