”昔、宇都宮の町中で天然痘が流行り、罹った子ども達が大勢亡くなってしまい、町中の人々はその恐怖に恐れ戦いていましたが、昔のことなので医者に診せる事も出来ず雨戸を閉めて神様や仏様にお祈りをするほか術が有りませんでした。
そんな街の中に信心深い漁師がいて、その一人息子もその病に罹ってしまったので、今まで以上に神様に「息子の命を助けて欲しい」とお祈りすると、 『黄色い鮒を食べさせると治るぞ』とのお告げがあり、喜んだ漁師は早速「田川」に行って網を打つと、本当に大きな黄色い鮒が獲れたので、家に持ち帰り祈りを込めて子供に食べさせてみると、不思議な事に子供の熱が下がり元気になったので神様のご利益に感謝して本物の黄鮒に代わり、張り子の黄鮒を作り神棚にお供えし、子供たちの成長と無病息災を祈る様になりました。
地域情報紙かわち 第71号
(令和2年7月発行)より